浮気なんてしょうがないもの。相手に見つからなければ問題ないと思っている人もいるかもしれない。そこまでは思わなくとも、「不倫をしなければ」「肉体関係を持たなければ」問題なしなどと考えている人も少なくないのかもしれません。
この浮気というのは、「気持ち」のことです。この「気持ち」のメカニズムを知らずして、根本的な解決はないと考えます。男女の差異なく人間なら共通して持つ、この「気持ち」がどうして起こるのかを考えてみたいと思います。
絶対と相対の関係性からの観点
だれでも情欲をいだいて女を見る者は、すでに心の中で姦淫を犯したのです。
マタイの福音書5章28節
結婚する前に浮気をしようなんてほとんどの人が思わないもの。しかし、何故か浮気してしまう。実際に浮気をしなくても、男性なら街中で美人を目で追ってしまう。女性なら結婚しているのにドラマにあるような恋愛シチュエーションを空想する。これら男女の「気持ち」が、浮気心と言えるのでしょう。
これは、配偶者が絶対的存在となり得ておらず、男性なら外見だけで女性をみる、女性ならいつもドラマにあるようなロマンチックを追い続けるというように、配偶者が相対的な存在に成り下がっているのです。
結婚式とは絶対なる神に宣誓をする時間
キリスト教の教会で結婚式を挙げると、神父、牧師さんを通し神様の前に誓いの言葉を述べます。
「新郎新婦、あなたはここにいる○○を、その健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、その命ある限り真心を尽くすことを誓いますか?」
ここで神様の前に「誓います」と宣言します。これは、絶対なる神様の前に「節操・貞操を守る」ということです。
神前式の結婚式でも斎主が「祝詞」を神に向かって読み上げ、杯が交わされ夫婦の契りが結ばれます。仏前式の結婚式では僧侶が「敬白文」を仏様とご先祖様に朗読し、夫婦に念珠授与されます。
結婚式にこのような儀式があるのは、結婚が相対的では成り立たないためです。もし、配偶者以上に魅力的な人が現れたらやり直すといったら、話になりません。絶対的な結婚ではなくなります。相対的なものではそもそも「結婚」の意義が喪失してしまいます。
絶対なる存在である「神仏」の前に2人の夫婦が永遠でなければならないということです。はじめから、離婚を考えて結婚する人はいないため当然と言えます。
相対的な気持ちがある結婚だと浮気心が強くなる
結婚式でこのような永遠の誓いをどの程度重んじているでしょうか?
なかなか難しい問題です。格別に宗教が必要だという訳ではないでしょう。日本人の多くは特定の宗教を信じているという訳ではないのに、お正月に初詣に出かける信心深い民族です。
しかし、このような重要な結婚式でどれだけ「絶対なるもの」に絶対視して望めるかが問題です。
お見合い結婚が恋愛結婚より離婚率が圧倒的に低い理由
恋愛の結果に結婚するよりお見合いで結婚したほうが、離婚率は圧倒的に低くなります。恋愛は自分で選んで結婚したので、お見合いより離婚しないように感じてしまいますが、恋愛はより相対的です。地球上の同世代の異性をすべて見定めて選んだ訳ではないのです。心理的にもっと自分に相応しい人がいたのではないかと、いつも目移りしてしまうのです。
一方、お見合い結婚は、少ない中でも条件を選び抜き、結婚を前提にお付き合いしたため、長続きしやすいのかもしれません。冷静に選択した分、結婚後に相対的な「気持ち」が生まれづらいのは明らかです。「この配偶者が自分にとって一番相応しいはず」という暗示効果が見込まれます。しかし、恋愛より絶対的に近づくものの、やはりまだまだ相対的です。
絶対的というのは、配偶者の中に見つけるものではなく、自分自身の中の確固たる信念に基づき自身の中に見出されるのです。
結婚における絶対的な神の存在
キリスト教であれ神前式、仏前式の結婚式でも絶対的な神仏の前に誓うのです。自身の中にある絶対的なものがあればあるほど、相対的にはならないのです。
例えば、信仰の強いクリスチャンやユダヤ教徒などは離婚しづらいのでしょう。なら「キリスト教国家の米国は?」となるのでしょうが、いまの米国で離婚率が高くなったのは、神を信じないクリスチャンが多くなったためでしょう。今の米国では神を信じない神父さえいるといいます。
絶対的な結婚観において問題なのは「私」自身
結局、浮気する気持ちが湧いてくるのは、「配偶者に魅力がなくなった」「配偶者が相手をしてくれない」など相対に問題があるのではなく、自分自身の絶対的な確信問題であるということです。それゆえに自らが変われるし、自らが変われば配偶者も変わるのです。
成功のカギは、やり抜く力
アンジェラ・ダックワース氏は、かつてニューヨークで教師として中学1年生に数学を教えていました。そのとき成績が良い生徒のなかには、それほどIQが高くない生徒もおり、頭がすごくよくても成績の良くない生徒もいたことから、IQだけが優等生、劣等生の違いではないと気づいたといいます。
教育について唯一良く知っているモノサシはIQであるが、もっと生徒や学習について理解する必要があると思ったのです。
それゆえ、大学院に行き心理学者になります。そこで調査します。
- 陸軍士官学校に行き、どの士官候補生が陸軍訓練に残り、誰がドロップアウトするか?
- 全国コンテストでどの子どもが競争でより勝ち残るか?
- 教育困難な地域の新米教師の誰が学習効果を上げることができたのか?
- 企業でどの従業員が一番お金を稼ぐのか?
調査の結果、ある1つの特徴が成功を左右していたことが分かります。
それは社会的知性でも健康、ルックス、IQでもなく「やり抜く力」だった。
- 超長期目標に向けた情熱や忍耐力でスタミナがあること。
- 明けても暮れても自らの将来にこだわること。
- その週だけとか、その月だけではなく何年もの間、一生懸命に取組み、その夢を実現すること。
- 短距離走ではなくマラソンを走るように生きること。
この内容は、「結婚」とは関係ないと感じる人がほとんどではないでしょうか?成功とは「勉強」や「仕事」だけではなく、「人生」で同じように重要な「結婚」の成功でもある訳です。
結婚(夫婦生活)の成功のカギは、離婚せず日々夫婦関係で切磋琢磨しながら一生を過ごし抜くことでもあるのです。
まとめ
データによると、「やり抜く力」は才能の高さとは通常関係ない、むしろ反比例さえしているといいます。
結婚においての「やり抜く力」は、自身のなかにどれだけ絶対的なものを確立できるかにかかっています。この絶対的なものは、もしかしたら一生かけて確立していくものなのかもしれません。しかし、そのスタートラインに立たなければ、何もはじまらず浮気心がどうして生まれるのかも理解できないのです。
宗教・哲学的な言い方をするなら「神は存在する」vs「神はいない」という闘いなのかもしれません。神は絶対的であるのに対し、偶発的にこの世が存在すると仮定するなら、目の前にいる配偶者も偶々居合わせた「来客者」に過ぎないのです。
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