ホームスクーリングの背景は宗教的なもの

教育
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日本ではホームスクーリングが合法でないため、大々的に議論されることは少ないです。ただ、少しずつ関心を持つ人が増えていることは間違いなさそうです。

米国のホームスクーリング人口は?

ホームスクール先進国といわれる米国のホームスクーリング人口はどうなっているでしょうか?米国教育省の国立教育統計センター(NCES)のレポートによると、2016年時点でホームスクーリングをしている生徒(5〜17歳)は、169万人。全体の3.3%です。これを2012年時点と比べると人数は177万人、割合は3.43%です。僅かですが減少傾向です。

出典:米国教育省

3.3%ならクラス35人なら、そのうち1人がホームスクーリングしているといった感じでしょうか。米国で生活している数人に聞いてみると、周辺でホームスクーリングをしている人が多く、検討している人も少なくないと言います。もちろん、付き合う層も片寄るのでしょうが、これよりも多いという肌感覚のようです。

国立家庭教育研究所(NHERI)によると、コロナ禍による都市封鎖などの影響で2020年から2021年にかけて、ホームスクーリングの人数が500万人に達していると紹介しています。同研究所はホームスクーリング支持派の団体のため、米国国勢調査局の情報を見てみると、2020年から2021年の学年度の初めにホームスクーリングを行っていた米国の世帯が前年度と比較して、5.6パーセントポイント増加し、2倍になったことを表しています。国勢調査局は、具体的数字を明らかにしていませんが、かなり増加傾向にあることは確かのようです。

ホームスクーリングする理由

親が子供にホームスクーリングさせるのには様々な理由があるのでしょう。アメリカでは学校で麻薬売人がいたり、最悪のケースでは銃乱射の被害に遭う可能性だってある。2016年の統計でも33.8%(特にヒスパニック系が47.9%と際立っている)が理由として安全性のためとしている。

出典:米国教育省

しかし、50年前になると治安もそれほど悪くなかったし、戦後からアメリカでホームスクーリングを実践し続ける家庭は、それは本質ではない。もともと、ホームスクーリングが生まれた背景は、聖書をしっかり学ばせるべきという考えから来ている。学校では聖書を教えなくなるばかりか、聖書の根幹である神が人間を創造したということを否定する左翼的な教育が幅を利かせるようになった。それゆえに学校教育に危惧を覚えた親たちが、積極的に学校に行かせない選択をしているのだ。

キリスト教とホームスクーリングの関係

国際家庭教育研究センター(ICHER)の統計に各州のホームスクーリング人口の推移があります。すべての州ではありませんが、ホームスクーリング人口が急増している場所は、横ばいや下落している地域に比べ、州に占めるクリスチャン人口が多い傾向にあります。

■マサチューセッツ州 キリスト教69%

■コネチカット州 キリスト教79%

■コロラド州 キリスト教64%

■ユタ州 キリスト教83%(うち53%がモルモン教)

■ノースカロライナ州 キリスト教88%

■フロリダ州 キリスト教82% 

学校の左翼教育を敬遠する親たち

2012年の国立教育統計センターの調査では、いまでも保護者の64%が、「宗教的指導」を提供することがホームスクーリングを選択した理由であると述べています。

特に南部の保守的クリスチャンが多い地域は、学校教育は左寄りだと敬遠する人々が根強く存在する。極端な例ですが、ハーバード大学など名門大学に行けば左翼教育に染まってしまうと考える人もいるぐらいです。主要な大都市で民主党勢力やリベラルが強い場所では、逆に、そんな考えは負け組で時代遅れだと一笑に付す。

いまは日本でも不登校の学生が通うフリースクールなど、幅広く捉えられるようになっているため、ホームスクーリングが宗教色の強い左翼教育からの反発であると捉え、その背景を理解する人はほとんどいなくなってしまったようです。

まとめ

日本人の多くが、ホームスクーリングというと、特殊な考えと思っていたり、最終学歴や世帯年収が高い人だけが選択しているのでは考えているように感じます。

先ほどの米国教育省のデータをみると、ホームスクーリングをさせている親たちの、最終学歴や世帯年収が分かります。この統計では、ホームスクーリングさせる親の最終学歴が高く、世帯年収に余裕があるからさせているという訳ではないことが読み取れます。

ホームスクーリングの背景は宗教的なものから始まりましたが、最近は政治的に保守、リベラル、急進派、リバタリアンなど、また宗教でも無神論者までもがホームスクーリングさせているため、公立学校に行かせると治安、安全面だけでなく、教育面でもマイナスがあると感じる親が増えているというのが実態であるようです。

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