ZEH住宅の義務化の流れが押し寄せてきています。ZEH住宅を推進するのはよいですが、個人的にZEH住宅の義務化には反対です。断熱性能等を大幅に向上させるのには大賛成ですが、太陽光パネル設置まで義務化するとなると問題です。
地球温暖化対策の流れ
令和2年10月26日に菅内閣総理大臣は、所信表明演説で温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、2050年までにカーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すことを宣言しました。
それにともない、国や住宅事業者が普及に努めているのが、住まいにおける脱炭素社会実現への取り組みであるZEH住宅です。
ZEH(ゼッチ)(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)とは、「外皮の断熱性能等を大幅に向上させるとともに、高効率な設備システムの導入により、室内環境の質を維持しつつ大幅な省エネルギーを実現した上で、再生可能エネルギーを導入することにより、年間の一次エネルギー消費量の収支がゼロとすることを目指した住宅」です。
出典:資源エネルギー庁
2050年カーボンニュートラル社会の実現のために
政府は、再生可能エネルギーの導入が非常に大きな鍵と断言しました。そして「再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォース」なるものを立ち上げ、着々と脱炭素のために動き出しています。つまり、再生可能エネルギーを各家庭や個人に定着させるため、その障壁となっている規制等を見直していくというのです。
各部門が協力して脱炭素していくというのは、国民全員に強要(共用)するということです。
太陽光発電は「再生不可能」である
太陽光パネルの導入には、再生エネルギー発電促進賦課金が不可欠です。
「再生可能エネルギー」とは、ネーミングが上手く、自然エネルギーこそ万能であると錯覚させる言葉のマジックです。
太陽光発電は「再生不可能」である理由です。
太陽の光や風など自然から放たれるエネルギーは、タダなので再生可能であるように感じてしまいますが、そうではありません。太陽の光は身体を温めたら、そのエネルギーという側面ではそれで完結しています。風はモノを揺らせばエネルギーはそれまで。自然の力がエネルギー(電力)を生むためには、別にエネルギーを投入して電力を生みださなければなりません。
家に例えると、パッシブ設計などで冬に南側の開口部(窓)から太陽熱で家を暖めるエネルギーはタダで、再生可能エネルギーはまさにこのことだけです。電気を生むためには、太陽光パネルというエネルギー変換率(光を電気に変える割合)が悪い設備にお金を投入しなければなりません。この設備ですが、変換率が改善されるなら良いのですが、現実はかなり厳しいです。
変換効率が100%にならない理由
太陽光エネルギーのほとんどは、どうして電気エネルギーにならずに消えてしまうのでしょうか?
大きく5つの理由があります。
- 太陽光が入らずにセル表面で反射するから、そのため反射を防止する膜が施されます。
- 太陽光の波長0.2~3μm(紫外線、可視光線、赤外線)の全波長域を吸収できない。
- 光りが当たっても電子、ホールが発生しないことがあり、発生しても寿命があって消滅。
- P-N接合面で発生、分離された自由電子、自由ホールは電極方向に移動中、ある程度消滅。
- シリコン材料や電極部などに電気抵抗があり、すべてがエネルギーにならない。
太陽光のエネルギー変換効率は低い
いま、太陽電池モジュールの主流は結晶シリコン系です。生産されているほどんどがシリコン系となっています。
モジュールもセルもエネルギー変換効率が向上していますが、シリコン系は単結晶で変換率が最高20%台。そもそも、結晶シリコン系でのエネルギー変換効率は理論上29%が限界といわれています。
こちらは中国太陽光発電産業協会(CPIA)が発表したエネルギー変換効率の推移ですが、PERC技術による単結晶で、2020年に平均変換率が22.8%に達したと発表しています。因みに、このあとの展望ですが、2030年にPERC単結晶で24.1%を見込んでいるようです。
日本国内で販売しているもので確認できる最高は、東芝が使用する米・サンパワー社のOEM製品SPR-X22-360が、変換効率22.1%(PERC単結晶)。
研究により、エネルギー変換効率が38%と比較的高くなっているのは、「III-V族太陽電池」(化合物3接合型太陽電池)です。しかも、これはセル変換効率であり、モジュール変換効率では32%程度。さらに、この「III-V族太陽電池」の原料となるのがガリウム、インジウム、リン、砒素。シリコン系と値段の差が雲泥の差です。量産したら、値段が下がるといったレベルの話ではないのです。
※CIGS系、CdTe系も結晶シリコン系に取って代わることは、今のところ現実的ではない。
2021年の中国太陽電池モジュール生産量
中国太陽光発電産業協会(CPIA)が発表した中国太陽光産業発展ロードマップによると、中国全土で2020年の太陽電池モジュール生産量(ほぼずべてシリコン系)は前年比26.4%増の124.6GW。2021年には145GWを超える見込みという。生産量上位5企業がシェア55.1%を占めており、国策企業と推察できる。
全世界での生産量はというと、生産拠点は2008年以降中国・台湾が世界の中心となり。中国がいつの間にかシェアを占有しています。
このような統計を見ると、国民から集められた「再エネ発電促進賦課金」が中国に流れているのではないかとどうしも疑ってしまいます。
【不都合な真実】「太陽光でCO2削減」はウソ?
(6分58秒から)
「これから20年間に我が国は、全体で再エネ賦課金で60兆円ぐらい払わなければならないと言われています。再エネ賦課金とは個人の同意を得ないで・・・そうやって集められたお金が太陽光事業者にいってしまうという制度なんです」
そして、太陽光でCO2が削減できているのかという話ですが、
もちろん、この因果関係だけでは一概に言えませんが、太陽光導入事例の多い中国、日本、米国、ドイツは、いまのところデータに照らし合わせると、CO2排出削減に貢献できていません。
(8分47秒から)
「CO2を完全に出さないようになったら経済は壊滅状態、資本主義経済は壊滅しますので、CO2全体主義と私は呼んでますけど、、、CO2の排出量を全体でコントロールするようになったら、経済に対する全体主義的なコントロールで、まさに社会主義経済にならないとこんなことできないですよ。社会主義、共産主義を導入するということですよね」
(11分36秒から)
チェコ共和国第2代大統領バーツラフ・クラウス氏が「ありもしない環境危機を演出し、政治家や官僚がそれを利用し、環境問題が人類にとっての唯一の課題であるかの如く振舞う環境主義のドグマは、かつて私たちが経験した共産主義の独裁的理論となんら変わりない」と語っていることを紹介しています。
家をつくるなら選択の余地もなく太陽光パネルも設置しなければならないZEH住宅の義務化への流れは、まさに全体主義に近いものを感じます。
トランプ大統領のパリ協定離脱の意味
トランプ前大統領が、パリ協定から離脱するといったとき、各業界の反応は様々でした。パリ協定は、国連を中心に世界約200か国の合意を得て設立され、当時この流れは必然だったのです。もともとトランプ大統領は、就任前から地球温暖化についてフェイクと主張していました。
それに対して世界の環境利権は、トランプ大統領を猛攻撃しました。もちろん日本も敏感に反応しました。環境庁は地球温暖化を利用して「炭素税」という新しい税金を徴収しようとしていたのです。アメリカ政権が離脱を表明すれば、炭素税に疑問を持つ人が増え不都合です。
一方、世界の株式市場は高値を更新し続けました。パリ協定離脱のニュースは相場には好材料だったのです。政治家ではないマーケットに携わる人は、そもそも地球温暖化を全く信じていないか懐疑的な目で見ている人がほとんどです。もともと政治家に流れる予定の税金が、マーケットに流入するのは上げ相場を意味していました。
「地球温暖化は本当なのか?」マスコミや政治家、それに繋がる人は「科学的に実証」されていない地球温暖化を前提に話を進めています。(知っていて利権のために故意に話を進める人と、知らずに正義感で主張する人が玉石混淆しているため、国民には何が真実か分かりづらくなっている)もし、地球温暖化が根底から覆されるなら、そもそも「再生可能エネルギー」の議論は全く違うものになってしまうのです。
コメント