よく建築系ユーチューバ―が家の性能の話をしているが、それらの基準では家の価格「本体価格」は2000万円(2000万円前半)では難しい。これが結論である。
性能が良くなると当たり前だが価格も上がる
確かに性能の良い家、そして外観や内装までこだわりがありオシャレな家に憧れる。家づくりをする人のほとんどが、ここからはじまり、そして現実的に叶わず、妥協を重ねて平凡な家になる。このパターンが圧倒的だと予想する。
オシャレに見える家にはたくさんのポイントがある。
- オシャレな外壁。窯業系サイディングではない。
- オシャレな外溝、植栽などバランスがよく、アプローチもこっている。
- 内壁は珪藻土などの塗り壁でビニルシートではない。
- ミーレの大型食洗機がある。
- キッチンのグレードは標準以上。
- 造作の家具がある。
数えればキリがないほどだ。さらに断熱性能のために窓や玄関ドア、換気システムなどはさほど妥協できずコストは嵩む。これら工務店で建てようと頑張ってみたものの、現実的ではないと諦める人は意外と多いのではと推測する。
建築系のユーチューバ―の方々は、こだわりのある人だ。そうでなければ、ユーチューブで発言することもないだろうし、オシャレな映像も提供できない。そして建築業界を改革しようとの使命感も強い。
しかし、ずっと思っていることがある。
この人たち(一部)は、自分たちの考えがスタンダードだと考え、この基準の家を建てることにより、多くの人が幸せになると本気で信じているということである。
2000万円前半までで建てられる家はオススメしない
はじめに2000万円前半までで建てられる家は、「建てないしオススメもしていない」と述べています。さらに、家を建てるのも価格だけで選んではいけないと警笛を鳴らしています。要約すると、施主の「安く建てたい」という心理につけ込んでくる業者に騙されてはいけないというのである。
高性能な家は結局安上がりになるのか?
高性能を謳い主張する人は、決まってランニングコストが安上がりになるので結局、長い目でみると得であるという決まり文句である。これに加え、快適さという代えがたいものも手に入れられる。しかし、冷暖房費など光熱費のイニシャルコスト分を回収するには、計算すると分かるが、かなりの年月が必要である。それゆえに、修繕費と光熱費を考慮しても得になるというのはかなり微妙な計算だと感じる。
また、このようにランニングコストを考えるときに考慮しなければならないことのひとつはリスク面である。ずっと同じ家に住み続けるのが長い目でみると得であるというということの最低条件である。
このYouTubeのコメント欄で指摘があるように、引っ越しなどで中古市場に出さなければならなくなった場合、かなり目減りする可能性が高い。コメント主が言っているように性能が良い家でも、買い手は見た目を重要視するため、この点はかなりのリスクとなる。このことをはっきりと発言する建築系ユーチューバーは、知る限りいない。
新建材と違い本物の材料は年数が経てば渋みが増すというというのは、事実であろうが中古市場では評価されづらく、断熱性能などの見えないところは尚更である。
本体価格が2500万以上の住宅はスタンダードとなるか?
なにも建築系ユーチューバ―に否定的な訳ではない。このような家は素晴らしいと思うし、絶対に需要があると思う。しかし、庶民一般的な感覚ではこの基準が標準にはならないと感じる。
丁寧にコメントに対応しているのは好感を持てるが、内容は全く噛み合っていない。コメント主は庶民には手が届かない買い物であるということを言いたいのに、この方のコメントは良いモノは長く使えエコで経済的だと言っているのである。払えないものに対して払えば経済的だと言っているのである。
この方ではないが、ある建築系ユーチューバ―が「屋根材でコロニアル(スレート)?」「今ごろ、そんなの使っている人いるの?」と発言していた。言いたいことはよく分かるが、自身の家づくりの考えがスタンダードであるとの主張が、言葉の使い方や内容からよく理解できる。この方も立派な考えを持ち、施主のためにと思ってプライドも持って取り組んでいるのだと思う。
しかし、庶民とは考えがかけ離れていると感じる。そういう考えは、あくまでこうなればよいというように主張をすればよいのであり、そうでなければ普通ではないという発言は如何なものかと考えてしまう。
動画を見て少し違和感を覚えたため、コメント欄をすべて見たが、全体の1割以上が否定的なコメントを残していた。
このコメント主もこの動画を一方的な考えの発信と感じたのだと思う。主張をするはいいのだが、「これがスタンダードであり、みんなこれを目指しましょう!」となるとやはりかなり歪な考えだと個人的には思う。
このコメント主も言っているように、「トータルコストで結局は安くなる」と言い切るのはどうかと思える。
まとめ
年収700万円弱で土地込み価格で2000万円の建売が限度だとの書き込みがありました。ひとそれぞれですが、支出も家だけがすべてではありません。
確かに家にいる時間は多く、建物にお金をかけるというのは、一見もっとものようですが、誰しも美味しいモノも食べたいし、旅行にも行きたい、色々買い物もしたいなど、幸せな暮らしの捉え方もお金の使い道の用途も様々です。
最後のコメントで「住宅ローンの返済のために大変な思いをしてまで高いお家を建てることは避けるべきと私も思っております」と回答していました。この大変な思いの程度問題にはなりますが、この観点では、2000万円以上(本体価格)の家がスタンダードになるには、いまのこの日本の現実では無理と考えます。もちろん、住宅供給側に問題があるのではなく、政治や国のあり方に問題があると言えますが。。。
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