ビニールクロスは、剥がれるのでいやだが、漆喰は高値だ。そこで、漆喰にはない調湿効果もあるということで注目されているのが珪藻土である。師匠的なことだけで珪藻土を選ぶなら問題がないが、自然素材を選ぶという目的の場合、硬化剤に合成樹脂を使用したものは問題がありそうだ。
ビニールクロス、珪藻土、漆喰の価格差
ビニールクロスの1㎡単価は、安い量産品もあり700円ぐらい~1100円ぐらいであるのに対し、珪藻土で推奨できる(粗悪品でないもの)の場合、1㎡単価で1700円ぐらい以上が目安だと思います。ビニールクロスを基準とすると、珪藻土は2倍ぐらいの費用が掛かりますし、漆喰になるとビニールクロスの4倍ぐらいの費用が掛かります。
費用を抑えていくとなかなか難しいものです。それゆえ、壁の仕上げ剤での悩む人は、現実的に漆喰vs珪藻土ではなく、珪藻土vsビニールクロスで悩む人が圧倒的ではないでしょうか?ちなみに私はビニールクロスにしました。もちろん珪藻土や漆喰が師匠的には好みでしたが。。。
珪藻土は種類から金額まで千差万別
珪藻土は、藻の一種である珪藻の殻の化石からなる堆積物を微粉末にしたもの。珪藻土の粒子には、小さな孔(穴)があり、調湿や脱臭に効果を発揮します。これにつなぎとして硬化剤を混ぜこんでいます。(珪藻土はそれ単体では接着効果がないため、硬化剤を混ぜる)
この硬化剤は石炭などの自然素材を使用したものと、合成(化学)樹脂を使用したものとがあります。珪藻土に大きな価格差があるのはこのためです。ホームページをみても、成分表記が曖昧な製品もよく見受けられます。
珪藻土は必ず品質確認をするべき
珪藻土は、必ず製品の品質確認をするようにしましょう。
珪藻土を選ぶポイント
- 焼成されていないもの(結晶性シリカの発がん性問題を参照)
- 珪藻土の含有量の確認
- 合成(化学)樹脂が含まれているか確認
- 吸放湿の数値の確認
つぎに個人的に推奨する珪藻土の数値です。
珪藻土のアスベスト問題
2020年にバスマットやコースターで問題になった石綿(アスベスト)ですが、厚生労働省によると、2006年以降、アスベストが0.1%以上含有している製品製造、輸入、譲渡、提供、使用が禁止されています。2006年前に仕入れた原材料を使用して製造されていたため、問題となっているため、そもそも国内の珪藻土を使用しているという記載があれば問題ないでしょう。
結晶性シリカの発がん性問題
壁材には焼成された珪藻土を使用しているメーカーが大部分です。珪藻土の焼成は、不純物を取り除き製品を安定化するための過程です。この焼成で結晶質シリカが発生するのです。焼成していないメーカーは、その記載があるため確認すると良いでしょう。
結晶質シリカ(クリストバライト)は、IARC(国際ガン学会)で「肺がん物質」としてグループ1に分類されています。グループ1は「肺がんのリスク」があると記載されています。このリスクというのは、鉱山などで働く人が大量に吸入した場合のことであるとされますが、非粉じん作業者にも約1割のじん肺有所見者のある調査もあります。
珪藻土のヒビvsビニールクロスの剥がれ
ビニールクロスは剥がれるから嫌だという人もいます。しかし、珪藻土も経年変化により木が痩せると、下地の石膏ボードの合わせ目や天井の境目などに、ヒビ割れ(クラック)が起きやすくなります。ただ、ビニールクロスの厚み(1㎜以下)と珪藻土の厚み(1-2mm)を考えると、珪藻土にヒビが入るころには、ビニールクロスは、隙間が開いたり、かなり剥がれていることでしょう。
珪藻土のヒビ割れは、綺麗には修復できないと考えておいたほうがよいでしょう。綺麗に修復するためには、車のキズ直しのように板金を何度もヤスリ掛けするような手間がかかるでしょう。それでも、板金に比べると綺麗には仕上がらないでしょう。それゆえ、フローリング無垢材の反りやキズのように経年劣化と思って暮らせる人にオススメです。
もし、珪藻土にヒビが入ると気になるような人は、凹凸などを意識して校倉(あぜくら)仕上げなど、ヒビが入ったときのことを想定した仕上げにするとよいと思います。
まとめ
珪藻土の種類はあまりにも多く様々なため、しっかりと品質を見定められる知識が必要です。左官は、下塗り1回、仕上げ2回の3回塗りをしない手抜きの場合は、ヒビがすぐに入ることが予想されます。珪藻土は品質だけでなく、左官の手抜き作業にも影響されるため、注意が必要です。
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