私は、「家づくりは会社選びがすべてだ」と書いていましたが、会社選びの時点でもし、成り行き(例えば営業担当者だけの説明で納得してなど)で会社を選んだという人がいたら、その時点ですでに家づくりに対する知識不足は否めません。この時点で、この会社で間違いないという自らの納得がなければ、後悔する可能性は高くなります。
後悔しないための会社選び
この会社選びでたまたま自身の好み(デザインや性能など総合的なもの)に出会っていたのなら、問題は少ないですが、違った場合は最悪の結果を生み出します。
例えば家は性能だと思っている人が、家はどこに頼んでもそれほど違いがないと思っていたら大変なことになります。今の家は昔と違って暖かいんだろうな~と思っていたのに、寒かったなんてことになる可能性を秘めているからです。まず、家づくりについて本を1冊読んだだけでもいろいろと気づきや疑問が湧いてきますし、人によっては考え方が180度変わったりするのです。
住宅屋に似ている職業は?それは「料理人」。住宅業界は飲食業界と似ている。美味しいものを食べられるかは、どこの店に入るかでほとんど決まっている。だから店選びが重要になってくると説明。
お客がラーメン屋に行くとき何を基準に選ぶか?お客目線からすると、味が重要、店舗とサービスも少し考慮。価格は美味しければ、100-200円の価格差は気にならない。
では住宅業界は?
一番重要なのは住宅自体。次に予算があるので価格を住宅の性能に応じて重要視する。しかし、住宅業界は人を呼び込むために真ん中の2つの住宅展示場と営業広告にお金をかけている。
この動画は斬新なことを言っているのではなく、当たり前で住宅業界の常識を言っただけです。しかし、住宅業界にいる側から言うため更に説得力と実感があります。今の住宅業界とは主に大手ハウスメーカーのことであるが、この展示場という入口がとてつもなく大きな市場となっています。
ラーメン屋で金額が気にならず、住宅では重要度が増すというのは、金額の多寡の問題と同時に現金一括で払うこととローンで負債を抱えるという差異が関係しているのでしょう。この金額はローンを組んだ毎月の支払額に跳ね返ってくるためです。問題は家の価格を分かりづらくしている業界の問題であるとも言えるのでしょう。
ところで、この動画を見て、大手ハウスメーカーで建てたいと思う人はいるのだろうか?
大手ハウスメーカーの良いところ
大手ハウスメーカーは「展示場」と「営業広告」に膨大なお金をかけていることは、誰の目からも明らかである。民間企業なら利益を求めなければ消えてしまう。膨大なお金をかけた分、どこかを削らなければならない。一方、人気がある工務店で年間10~15棟の建築許容しかない場合、「営業広告」にそれほどお金をかける必要性はなく、「展示場」は最低限のモデルハウスで賄える。
でも大手ハウスメーカーと工務店では、売り上げ額が全く違い、売り上げに占める広告宣伝比率からすると大したことはないという反論があるのかもしれない。ただ、大手ハウスメーカーは、「展示場」と「営業広告」のお金だけでなく、手厚いサポートのための人件費がネックとなるでしょう。
さて、こんな構造を知っても、大手ハウスメーカーで建てたいという人が多いのでしょう。工務店はいつ潰れるか分からない。やっぱり大手ハウスメーカーへの憧れや安心感。これを重要視するのは、健全なのかもしれません。重要なのは、こういった構造を知ったうえで、会社選びをするべきだし、それが後悔しないことだと思います。
会社の具体的な選び方
動画の最後に参考になる会社の選び方が紹介されていました。エコハウス大賞の受賞者、PHJの加盟企業、新住協の加盟企業などを基準に選ぶというもの。
性能重視で工務店や設計事務所を選ぶ前提での内容です。
ただ、皆さんの自宅の近くにこれらの会社が何社あるでしょうか?かなり少ないというのが感想です。また、これらの会社は1年に10-20棟ほどしか建築する許容がないと予想されるため、もしかしたらすでに1年先まで予約が入っている可能性だってありえます。
そう考えると、ある程度の基礎知識を持って近くの工務店を検索するなどして洗い出す必要性を感じます。
ホームページから会社を選ぶ方法
会社は建設予定地から30キロ圏内が理想です。私は工務店との距離が8キロでしたが、毎回片道20分近くかけて通っていました。打ち合わせ回数は合計15回ぐらいでしたが、仕事が休みの日に行くため、途中からはワクワク感が薄れ、かなりの疲労感が溜まります。
ではホームページを見てどのように探せば良いでしょうか?ほとんど記載がありますが、そもそも「高気密」「高断熱」などの文字がないなら止めた方が良いでしょう。次に標準仕様、値段の目安が載っているのかを確認。施行事例で過去のUa値やC値測定の記録があれば参考になりますが、実際はほとんど載せていないのが実態です。この場合は、問い合わせて最近の施行例での実績を聞くのがよいと思います。
この時点で施行事例により変わるのでなどとの返答ならば、「気密測定をしているのか?」を聞くと分かり易いです。施行側も気密測定は、費用が生じるため、「している」という回答をする場合は、断熱性能に力を入れ、意識が高いことが分かります。
モデルハウスのチェックポイント
ホームページでの内容と実際の食い違いがないかは、やはりモデルハウスを見に行くことしかないでしょう。工務店のモデルハウスは、大手ハウスメーカーの住宅展示場にあるモデルハウスと違って、自ら選んだ土地に家を建てているため、より現実的な建物になっています。住宅展示場のモデルハウスは、平均的な家よりかなり建物が大きく、窓など開口部も広々と設置されています。
私は工務店のモデルハウスを見に行くとき、少し待ち合わせの時間より早く行き、建物の外回りをチェックしました。家の中は当たり前のようにチェックしますが、外回りの見学に時間を取ることで、気づきがあり質問したい内容も明確になります。
私は、冬に見学しましたが、担当者が来てから一緒に家に入ったあとエアコンを入れたため、建物に入ったあとの暖まる時間などを実感することができました。
建物の外観のチェックポイント
- 周りの環境にどう建物を建てているのか?
- 外溝はどのような感じか?
- アプローチのセンスはどうか?
- 駐車場はドアの開け閉めなどから適切な配置か?
- 外壁、屋根材は何か?
- 窓とドア材の確認。
- 給湯器は何を使っているか?
- 室外機からエアコンの設置は何台か?
- 建物の向きは?
- 南側の窓の大きさは?
- 北側の窓の数と大きさは?
- 庇と軒の長さは適当か?
- 基礎の立ち上がりは丁寧か?
※実際にはこのときはチェックしておらず、もっと見ていれば良かったと思った項目は赤で記しています。
近所に大手ハウスメーカーで建てられた注文住宅があります。この家は南側と西側の道路に面した角地に建つのですが、南側に玄関があり、西側に大きな窓を設置しています。どうして、このような設計なのか?素人ながらに思います。南側に大きな開口部を取る日射取得が成されていません。そもそも、日射取得や日射遮蔽などの計画がないのかもしれません。西側の窓がある場合などは日射遮蔽が計画され、庇や軒の長さが足りているかなどは重要だと思います。
このように外観だけでも多くのことが分かります。同じようにモデルハウスも外側から眺めて相性のよい会社かを見定めてほしいと思います。
コメント