家の中で最適な学習場所はどこなのか?

子供部屋
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教育に携わる人や特に塾の講師は、子供達との面談でどこで勉強しているかということをよく質問するようです。傾向として子供部屋で学習している人より、リビングで学習している子供のほうが学力が高いという。

学習場所ではなく、親子の関係をまず考えるべき

個人的な考え方ですが、子供(特に小学生まで)は母親(両親)のために勉強を頑張ろうとするのが普通ではないのかと思っています。良い点数を取って親に褒められたい、認められたい。その対象が学校の先生だったりするかもしれません。

そう考えると、より親と接することができるリビング学習がより効果的な場合が多くなっているということで、親と子供の関係が良好に保てるなら子供部屋だろうと、どこで勉強しても問題ないと思っています。

学習場所と家族の存在が子どもの学習動機づけに及ぼす効果

日本家政学会誌で発表された研究論文です。

学習場所と家族の存在が子どもの学習動機づけに及ぼす効果

この研究は児童637名を対象にアンケートし、学習場所と家族の存在が学習動機にどのように作用しているかを調査したもの。

この研究の調査対象が小学5、6年生になっているのは、子供の自己調整学習は5年生あたりから高まるとされているからだという。

自己調整学習

学習過程のすべてに学習者自身が能動的にかかわり,自己の認知活動や行動をコントロールしながら,効果的に学習目標を達成していこうとする学習スタイルのことをいう。

コトバンクから引用
調査結果
  • 約半数がリビングやダイニングで学習しており、7割以上の児童が親や兄弟の存在を感じながら学習している。
  • 7割以上の児童が保護者や兄弟など家族の存在を感じながら学習している。
  • リビング、ダイニング学習では、学習時に家族の存在があると自律的な学習動機づけが高くなる。
  • 子供部屋での学習では、家族の存在が自律的な学習動機づけが低くなる。

予想されるのは、子供部屋で学習しているのは、自ら部屋で学習しているのではなく、親に言われてイヤイヤ学習しているパターンが多いということです。それに比べ、リビング学習は家族との会話の中で、「宿題あるの?」などの言葉とともに子供が自発的に宿題をし始めていると思われます。

リビング学習は、2005年頃から一部の教育関係者や保護者らによって推奨されるようになったようですが、各メーカーはリビング学習を新たなマーケットとして舵を切ったようです。

子どもと暮らす住まいのカタチ(Panasonic)

リビング学習がはかどる家族の快適空間 | 子どもと暮らす住まいのカタチ「ウチトコ」 | Panasonic
子どもの勉強への意欲を引き出したり、集中して取り組むための環境を整えたり、リビングでの上手な学習を行うための住まいの工夫をご紹介。勉強道具の片付けや収納など親のお困りごとにも解決策をご提案。

教育評論家の親野智可等さんが、リビング学習での親の接し方に焦点を当てて説明しています。子供にとって、「自分は親に愛されている」「大切にされている」「分かってもらえている」「受け入れてもらっている」ということの実感が不足しているがゆえに、親子の信頼関係が揺らいでいくというのです。

この信頼関係は、学習を通したリビングでの触れ合いから生まれてくるのかもしれません。

ホームコモンズ(ミサワホーム)

ホームコモンズ設計とはミサワホームが提唱する子供のための住まいづくりのコンセプト。

子どものために住まいができること|ホームコモンズ
ミサワホームは住まいにおいて、家族がふれあいながらともに学び成長する4つの“学び空間”をデザインします。

「住まい」という言葉の語源は、「巣まい」であり(古事記には、住まいの意味を巣まいと記している)、大事なヒナを育てるために巣をつくる鳥のように、住まいづくりは元来、子どものために行うべきという明確な答えを出しています。

ミサワホームホームページから引用

そのため、認知心理学者ハワード・ガードナーが提唱した「8つの知性」が自然につくような住まいを心掛けているという。

本来、子供は天賦の才能を与えられているのでしょうが、それを発揮できないのは、親子関係の崩壊が原因ではないでしょうか?「8つの知性」って特別に感じてしまうのかもしれませんが、鳥がヒナを育てるような普通な子育てだけで育まれるものだと個人的には思っています。

ミサワホームホームページから引用
  1. スキンシップで五感をはぐくむ(0~1歳)
  2. 会話を通して想像力を伸ばす(2~6歳)
  3. 興味・関心から意欲を伸ばす(7~12歳)
  4. 親子一緒に思考力を高める(13~21歳)


このように4ステップで家族の関わり合いをもとに住まいを考える提案をしています。最後のステップである13~21歳では、特に子供だけでなく親も学ぶということが特徴的です。

親の意識が高いと子供も自然に学ぶことができそうです。子供に学習してほしいと願うのではなく、親自らが学習する意欲があれば、それを常日頃、見続けている子供は自然と学ぶ喜びを身に着けていくのかもしれません。

もっと言えば、1-3ステップの12歳までも親は子育てを通じて自身の心情が成長していなければならないと思います。

子供部屋が敬遠される理由

子供部屋ではなかなか学習できないのは何故でしょうか?

それは子供部屋にあまりにも誘惑が多いことが一因でしょう。誘惑をなくしても、親の関心がなければ、同じことかもしれません。例えば子供部屋にゲーム、漫画、スマホなどすべてを排除したとしても、本人に集中力がなければノートに絵を描いたり。。。

小学生の集中力は好きなことにしか向かないのです。

子供にとって学習意欲や学習動機づけは関係性(人間関係)でしかつくことはないと思っています。子供が子供部屋で、1人で図鑑を見て、昆虫に関心を持ち学習意欲が湧くこともあるかもしれません。しかし、これは稀なケースだと思います。ほとんどの場合、学校での先生の影響、またその話した内容、自然との触れ合い、体験学習などのキッカケとなり、知りたいという意欲が湧き、そこから集中力も生まれてくるように感じています。

そう考えると、リビングがそういった関係性や親の関心が関わり合いが保てる場所として子供部屋より相応しいと言えるのではないでしょうか。

子供部屋
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家づくりについて考える―中庭のある平屋暮らしー

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